最終更新日:2019/04/17
犬のダイエットに関する正しい知識と進め方

ウチの犬は肥満!?気になる肥満度をセルフチェック
室内飼育が増えてきたことで『犬の肥満』懸念されるようになりました。
肥満を放っておくと、人間と同じように生活習慣病を引き起こしてしまう可能性があるので、できるだけ早く解消したいところです。
ほとんどの飼主さんが『自分の犬は太ってない』と思うものですが、いつも愛犬を目にしている飼主さんは体験の変化に気づきにくいので、他人から指摘を受けて初めて気づくというケースがとても多いです。
愛犬の肥満を見過ごさないためにも、日頃から愛犬の肥満度合をチェックしておきましょう。
肥満度合の確認には、環境省でもアナウンスされているボディコンディションスコア(BCS)が便利です。
犬の肥満度が分かるボディコンディションスコア(BCS)
ボディコンディションスコア(Body Condition Score)とは、犬種によって体長・体重が異なる犬の肥満度を5段階に分けて評価する指標のことです。
下記に画像を用意しましたので、愛犬がどの項目に当てはまるのかチェックしてみましょう。
理想的なスコアは、軽く触れるだけで肋骨が分かる『BCS3』です。
それ以下の場合は痩せすぎ、そしてそれ以上の場合は肥満ということになります。
肥満を放置するとどうなってしまうのか
丸々と太った犬は可愛いですし、ゴロゴロする姿にも愛嬌がありますので、健康状態に問題なない限りは肥満のままでも問題ないと考えてしまうものです。
しかし、肥満でも健康であれば問題がないということはなく、肥満が健康を脅かしてしまうという認識を持って頂きたいです。
肥満を放置すると、全身に様々な不調を引き起こしてしまいます。
肥満によって起こる不調(部位別) | |
---|---|
皮膚 | 弛んでシワとなった部分が群れて皮膚病を引き起こす |
骨・関節 | 過度な負担によって骨折や炎症を起こしやすくなる |
靭帯 | 軽い運動によって損傷しやすくなる |
胃腸 | 暴飲暴食によって炎症を起こしやすくなる |
膵臓 | インスリンの働きが鈍くなり、糖尿病のリスクが高まる |
他にも様々な不調を引き起こしてしまうので、肥満に気づいたら早めに対処してあげることが重要です。
太ってしまった原因とは?
BCSのスコアが4以上だった方は、太ってしまった原因について考えることからスタートしましょう。
年齢や体質の変化や、何気なく行ってきた習慣が影響している可能性があります。
下記に思い当たる原因をまとめてみましたので、これらを参考に振り返ってみましょう。
去勢・避妊後に太ってしまった
去勢や避妊手術を行うと、1日に必要なエネルギーは約20~25%低下するといわれていますので、今までと同じドッグフードを同じ量で与えていると肥満を引き起こしてしまいます。
また、ホルモンバランスが変化することで食欲は増すもといわれているので、飼主さんがついつい食事を多めに与えてしまうことも肥満の原因として考えられます。
去勢・避妊手術後には、食事を与える量を少しずつ減らしていき、術後の適正量となるように調整してあげることが大切です。
とくに炭水化物を多く含む穀類や脂質の高いフードはエネルギーとして利用される成分ですから、消費しきれなかった分は脂肪に変わりやすいので、肉や魚の使用率が高いノンオイルコーティングのドッグフードもオススメです。
運動をさせていなかった
肥満の原因として最も多いのは、愛犬の運動不足です。
一昔前までは、犬は屋外で飼育するのが一般的でしたが、最近ではチワワやトイ・プードルなどの超小型犬が人気を博していることもあって、室内飼育が当たり前になっています。
室内飼育に慣れてしまった犬は、外出を嫌がったり、興味を示さないことがありますので、運動は室内で済ませているという方も多いのではないでしょうか。
しかし、室内という限られた空間では犬が思いっきり走り回ることができず、運動量が足りていないケースが多いです。
また、ジャンプや二足立ちといった犬の体に負担をかけてしまう運動が多くなってしまうので、関節や筋肉を痛めやすいというリスクもあります。
愛犬を運動させるなら、ちゃんと屋外でリードをつけて一緒に走り回ってあげるのが一番です。
愛犬の走るスピードが速いという場合には、ノーリードで自由に動き回れるドッグランもオススメ。
一人で暮らしている飼主さんの中には、散歩にあまり時間を割くことができないという方も多いです。
そのような場合には、愛犬の散歩を代行してくれるペットシッターを利用するという方法もあります。
食べ物を与えすぎた
犬が食べ物を一生懸命咀嚼して、ゴクンと飲み込む姿はとても可愛いですよね。
その姿が見たくて、おねだりされるとついつい食べ物を与えてしまうという飼主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、これがまさに肥満の原因です。
犬を肥満にさせないためには、次の3原則は厳守してください。
- ドッグフードは目安量を守ること
- おやつは過度に与えないこと
- 人間の食べ物は与えないこと
この中でもとくに重要なのが人間の食べ物を与えないことです。
飼主さんが食べているものを与えてしまうと、犬は「これは食べてもいいものだっ!」と思うようになります。
おねだりに弱い飼主さんは、食事のたびに犬へ様々な食べ物を与えてしまうことになり、犬はどんどん太っていきます。
古くから群れの中で生活してきた犬は、上下関係をきちんと理解することができる動物です。
少し冷たいかもしれませんが、飼主さんとの関係性を明確にするためにも飼主さんが食事をしている間はちゃんと我慢をさせて、その後にドッグフードを与えるようにしましょう。
そうすることで飼主さんの食事を欲しがらなくなるので、余計な間食を減らすことに繋がります。
また、先述したとおり犬は上下関係を理解する動物ですから、多頭飼育においてもそのような関係が形成されることがあります。
これによって、上の立場の犬が下の立場の犬の食事を横取りすることもあります。
飼主さんが見ている場合は注意してあげることができますが、不在の場合にはどうすることもできません。
そこでオススメしたいのが、カメラ付きの給餌マシーンです。
給餌マシーンを利用すると遠隔操作で犬の食事のタイミングを管理することができますし、カメラやスピーカーがついているので出先で犬の様子を見守りながら必要に応じて声掛けをかけてあげることもできるので、犬同士がドッグフードを奪い合うのを防ぐこともできます。
病気が肥満を引き起こしている可能性もある
犬が太ってしまうと「おやつ・ドッグフードを与えすぎたかな」とか「しばらく散歩に行ってないな」というようなことを考えてしまうかもしれませんが、その裏には病気が隠れていることもあります。
例えば、多飲によってむくみを引き起こす腎臓疾患やクッシング症候群、食欲が旺盛になってしまうホルモンの異常などが挙げられます。
ただの肥満と判断して淡々とダイエットを始めてしまうと、抱えている病気を悪化させてしまうことがありますので、ダイエットを始める前には必ず獣医師に相談してから行うようにしましょう。
犬のダイエット方法について
実際にダイエットを始める前に、犬の正しいダイエット方法と基礎知識についてご説明します。
食事制限の方法と注意点
犬のダイエットにおいて最も重要なのは食事制限です。
ドッグフードのパッケージに書いてある給餌量は、あくまでも目安。
減量に必要な給餌量を知るには、エネルギー要求量の計算方法と、栄養成分に関する知識が必要です。
1日あたりのエネルギー要求量の計算方法
ダイエットにおいて食事制限は欠かせないものですが、食事量を極端に減らしてしまうと健康を損なう可能性もあります。
正しい食事量を設定するには、1日あたりのエネルギー要求量を計算してあげることが大切です。
1日当たりのエネルギー要求量は、Dairy Energy Requirementを計算することで求めることができます。
- Daily(1日の)
- Energy(エネルギー)
- Requirement(必要とするもの)
それぞれの頭文字を取って、通称DERと呼ばれています。
ただし、DERを求めるには、安静時エネルギー要求量であるResting Energy Requirementが必要になります。
- Resting(活動していない)
- Energy(エネルギー)
- Requirement(必要とするもの)
こちらも頭文字を取って、通称RERと呼ばれています。
RERの計算式はこちらです。
【RERの計算式】体重(kg)の0.75乗×70
一見、べき乗が入っているので難しそうに見えますが、電卓を使えば簡単に計算できますので、スマホに入ってるものを利用しましょう。
(iphoneにプリインストールされている電卓は、横向きにすることでべき乗計算用のボタンが出現します)
続いて、DERの計算式はこちらになります。
【DERの計算式】RER×係数
係数とは、犬のライフステージや体格、活動量に合わせて設定された倍率のことです。
DERの計算に用いる係数 | |
---|---|
泌乳期の犬 | 4.0-8.0 |
妊娠期の犬(43日目以降) | 3.0 |
妊娠期の犬(初めの42日間) | 1.8 |
離乳から4ヵ月までの犬 | 3.0 |
5-9ヵ月までの犬 | 2.0 |
1歳以上の成犬 | 1.8 |
避妊・去勢済みの犬 | 1.6 |
シニア犬 | 1.4 |
軽い運動をする犬 | 2.0 |
中程度の運動をする犬 | 3.0 |
激しい運動をする犬 | 4.0-8.0 |
肥満傾向の犬 | 1.4 |
増量中の犬 | 1.2-1.4 |
減量中の犬 | 1.0 |
減量中の犬の場合は1.0になりますので、RER=DERになります。
それでは、試しに計算してみましょう。
平均的な体重は犬種にとって代わりますが、今回は目標体重を5kgとします。
【RER】√√(5*5*5)*70=234kcal
【DER】234*1.0=234kcal
計算の結果、体重5kgまでの減量中に必要なエネルギー要求量は、1日あたり234kcalということになります。
ドッグフードの給与量を調整するには、パッケージに書かれている100gあたりのカロリーを使用します。
(DER/100gあたりのカロリー)*100
例えば、100gあたり380kcalのフードを先ほど求めたDER(234kcal)に調整する場合、その給与量は次のようになります。
(234/380)*100 = 61g
いかがでしょうか。
最初は難しく感じたエネルギー要求量の計算も、計算方法さえ分かっていれば簡単に感じますよね。
ただし、減量中のドッグフードには、栄養バランスのとれた総合栄養食を使用するようにしましょう。
総合栄養食以外のフードでは、犬が健康に生きていくために必要な5大栄養素(タンパク質・脂肪・炭水化物・ビタミン・ミネラル)が不足してしまいます。
どうして総合栄養食以外を与えなければならないという場合は、不足している栄養素をトッピングやサプリメントから補給できるようにしてあげましょう。
摂取カロリーは内容が大切
体脂肪が増えてしまうメカニズムには、食事に含まれる「脂質」と「糖質」が大きく関わっています。
活動するために必要なエネルギーとして利用される脂肪と糖質には、消費されなかった分が予備のエネルギー(体脂肪)として蓄えられる性質があるからです。
市販のダイエットフードには「低カロリー」と表示されているものが多いですが、脂質は1gあたり9kcalと高カロリーであることに対して、糖質の持つカロリーはタンパク質と同じ1gあたり4kcal。
低カロリーフードだからといって、必ずしもダイエットに適しているとは限らないのです。
とくに市販の安価なドッグフードには、コストを抑えるために糖質を多く含む穀類を大量に使用しているものが多いので、低カロリーだからといって与えによって続けると、「痩せるはずだったのに、太ってしまった・・・」という事例も少なくはありません。
とはいえ、脂質も糖質も生きるために欠かせない三大栄養素の1つですから、必要最低限は摂取しないと体調を崩してしまいますため、これらを全く含まないドッグフードというのは存在しません。
また、脂質と糖質が控えめで、食物繊維とタンパク質が多めのフードはダイエットにおいて理想的ではありますが、愛犬の年齢や体質、抱えている病気によっては体に合わないことがあります。
こうした理由から、ダイエットフードを選ぶ場合はまずは候補をいくつかピックアップした上で、どれが良いのか獣医師に相談しながら進めていきしょう。
ダイエットの運動方法と注意点
ダイエットのためには、運動を行うことも効果的です。
しかし、どんな運動でも良いというわけではなく、犬種や体重に適したものを選んであげる必要があります。
また、食事制限と合わせて運動をする場合には、摂取カロリーと消費カロリーを管理するために、運動によって消費するカロリーの計算方法も知っておく必要があります。
運動によって消費するカロリーの計算方法
犬が運動によって消費するカロリーは、Exercise Energy Requirementによって求めることができます。
- Excercise(運動)
- Energy(エネルギー)
- Requirement(必要とするもの)
各単語の頭文字を取って、通称EERと呼ばれています。
EERの計算式はこちらです。
【EERの計算式】BW*((1.77d*BWマイナス0.4乗)+(1.25*BWマイナス0.25乗))
「d」は移動距離(km)、「BW」は体重(kg)を指しています。
例えば、体重5kgの犬が1㎏歩いたすると…下記の計算で約8.85kcalになります。
5*((1.77*5-0.4)+(1.25*5-0.25))=8.85
ちょっとややこしい計算式ですので、電卓を使って計算するようにしましょう。
移動距離については、GPSを使用して距離を測ることができるマップ系アプリが便利ですよ。
散歩に必要な距離は、EERを使って計算することができます。
【散歩に必要な距離】消費したいカロリー÷EER
先ほど計算した体重5kgの犬に、30kcalを消費させたい場合の計算式は次のようになります。
30÷8.85=3.4km
なお、長距離を散歩する場合には、犬の体に負担をかけすぎないように小まめに休憩を挟むようにしましょう。
小まめな休憩は負担を減らすだけではなく、エネルギーの消費効率が良くなるともいわれているそうですよ。
低負荷の運動を選ぶ
若い頃から激しい運動になれている犬でも、体重が増えた状態での激しい運動は大きな負担がかかってしまいます。
とくに関節にかかる負担には要注意で、12歳以上の犬はそうでない犬と比べて約2倍以上もリスクが高まるといわれています。
ダイエットのために運動する場合は、関節に負担をかけない軽めの運動から始めると良いでしょう。
オススメなのは、自重の負担が四肢にかからない水泳です。
犬を泳がせるには「ドッグプール」などの専用施設に行かなければならないと思ってしまうかもしれませんが、小型犬ならお風呂の浴槽でも問題なく運動できます。
浴槽だと少し狭いという場合は、家庭用プールが便利。
空気を入れて膨らませるタイプのビニールプールは準備と片付けに手間がかかりますので、組み立て式のフレームプールがオススメです。
プールの深さについては、飼犬の様子をに見ながら調整してあげましょう。
例えば、足が短いダックスフンドは浮力を得るほどの犬かきが苦手なので、泳がせるよりも歩かせる方が安全で負担もかかりません。
また、バゼットハウンドのような耳の大きな犬種は頭の側が沈みやすく、水上でバランスを保つのが難しいので、こちらも歩かせた方が良さそうです。
犬種に限らず「水そのものが苦手」という犬もいますので、そのあたりは様子を見ながら少しずつ慣れさせるようにしましょう。
プールを終えた後は、十分に身体を拭いてあげる必要があります。
とくに耳には注意が必要で、耳の中に水が残ってしまうと外耳炎を引き起こしてしまうことがあります。
ただし、耳はデリケートな部位でもありますから、刺激を与えないように優しく拭き取ってあげることが大切です。
ダイエットの目標とプランを立てよう
まずは目標設定しよう
ダイエットの目標になることの多い「体重」ですが、犬のダイエットにおいてはそこまで重要ではありません。
人間のダイエットであれば、個人差はあるものの、一般的な体型で年齢や性別の近い人同士の体重にそれほど大きな差はありませんから、体重という指標が1つの目標として使いやすいです。
しかし、犬種(雑種も含む)や年齢、体質や活動量によって体重が全く異なる犬では、体重という指標を目標にするのがとても難しいです。
「じゃあ一体、何を目標にすればいいの?」とお困りの方、ご安心ください。
ダイエットの目標にピッタリな指標として、冒頭部分でご紹介しました犬の肥満度が分かるボディコンディションスコア(BCS)というものがあります。
BCSの指標は犬種や年齢などの要因に左右されないので、誰でも簡単に目標として定めることができます。
また、見て触れるだけでも確認することができるので、わざわざ体重計に乗せる手間がないのもいいですね。
しかし、日々の変化を把握するためには体重管理も欠かせませんので、定期的な体重測定はしっかり行いましょう。
目標達成するためのプランを立てよう
ダイエットの目標が決まったら、その目標を達成するためのプランを立ててみましょう。
基本的な内容は、人間のダイエットと同じように運動と食事制限がメインとなります。
何をどのように行うのかは、愛犬が抱えている病気やケガ、犬種ごとの性質によって適したものが異なりますので、何が理想的なのかは獣医さんに相談されることをオススメします。
実践する内容が決まったら、次は「いつまでに達成するのか」の期日を決める必要があります。
「いつ痩せるか分からないし、達成するまで続けるから期日なんていらない」と思う方が多いかもしれませんが、期日を決めておくことで成果の出ないダイエットの引き際を決めることができるというメリットがあります。
期日を決めずに続けたダイエットに失敗してしまうと、「これだけ頑張ったのに成果が出ない…もうダイエットなんてしない」と思ってしまう方が多いです。
これは、期日を決めないことで「今やってるダイエットで必ず痩せる!痩せないわけがないから痩せるまで続ける」という想いが強くなってしまい、失敗したときの精神的なダメージが大きくなってしまうからです。
期日をちゃんと決めてダイエットを行えば、「今回のダイエットは失敗に終わったから、次は別の方法を試してみよう」という考えに切り替えやすくなります。
期日の目安としては、まずは一ヶ月程度で十分でしょう。
いきなりBSC「3」を目指すのではなく、まずは「5から4」といったように、少しずつ計画していくと良いかと思います。
また、ダイエットの内容(実践したこと、体重、BCSを把握できる写真)を記録として残していくことも大切です。
記録を取っておくことで、もし成果が出なかった場合にどこが悪かったのか、改善すべき点はないかを確認することができます。
他のダイエット方法について獣医師に相談する場合にも今まで何に失敗して、どこに問題があったのかが一目で分かるので、話がスムーズに進みます。
ダイエットに失敗しないためのポイント
明確な目標と完璧なプランを練ったとしても、予期せぬ出来事によってダイエットに失敗することはあります。
そこで、ここではダイエットに失敗しないためのポイントについてご説明いたします。
犬のストレスサインを見逃さないようにしましょう
ダイエット中の犬は、今までとは異なる生活に対してストレスを溜め込んでしまうことがあります。
人間がダイエット中にストレスを感じると、少ない食事でも満足できるように食感の良いものを選んだり、好きなスポーツに取り組むことで運動そのものを楽しんだりといった工夫を取り入れることができますよね。
しかし、言葉を発することができず、飼主さんの許可なしでは自ら外に出ることもできない犬は、ストレスを発散させることができませんので、どうにかしたいという気持ちから普段は行わないような行動を起こすことがあります。
こうした行動はストレスサインとも呼ばれており、代表的なものには次のようなものが挙げられます。
- 吠える・唸る・攻撃的になる
- トイレに失敗する
- 食糞(しょくふん)をする
- 呼吸が荒くなる
- 意味もなく動き回る
こうしたサインを発見した場合は、怪我や病気などのトラブルを起こしてしまう前に原因を取り除いてあげる必要があります。
運動量を減らしたり、食事の量を増やしてみながら様子を見て、原因がどこにあるのかを探ってみましょう。
食べること以外の喜びを探してあげましょう
厳しいダイエットを行っていると、愛犬に対して「可哀そう・・・」と思ってしまうことがあります。
とくに先述したようなストレスサインを目にしてしまうと、「今はダメだけど、ダイエットが終わったら美味しいご飯をたっぷりあげるからね」と考えてしまう方が多いです。
しかし、こうした気持ちを残したままダイエットを続けてしまうと、その反動でリバウンドしてしまう可能性が非常に高いです。
愛犬に対して「かわいそう・・・」と思ってしまう気持ちはものすごく分かりますが、せっかく厳しいダイエットに成功したのに、リバウンドによってまた同じ生活を送ることになってしまうのはもっと可哀そうですよね。
「それじゃあ何をしてあげたらいいの?」と思われるかもしませんが、ご安心ください。
そんなときには、食べ物以外で愛犬が喜んでくれることをしてあげるといいのです。
いつもより遊んであげる時間を増やしてあげたり、飼主さんと一緒に楽しめる競技としてアジリティーに挑戦してみるのも良いでしょう。
あまり身動きが取れずに食事制限からスタートした犬には、ブラッシングやマッサージをしてあげると喜んでくれるかと思います。
飼主さんも一緒に取り組みましょう
犬は飼主に似るという言葉がありますが、まさにその通りだと思います。
有名な話だと、筋トレをしている飼主の真似をしたり、赤ちゃんと並んでハイハイをしているというものがありますよね。
群れで生活していた犬は、自分よりも長く生きている仲間を観察して真似ることで生存率を高めているという説もあるくらいですから、そんな犬の真似をするという習性を上手く利用することができれば飼主さんと一緒にトレーニングをするというのもダイエット方法の1つとして効果的なのかもしれません。
とはいえ、必ずしも愛犬が飼主さんの真似をするとは限らないので、先ほどの話はおまけ程度に捉えてください。
肝心なのは、飼主さんもダイエットやトレーニングを行うことです。
一緒にダイエットに取り組むことで、次のようなメリットがあります。
- 愛犬の運動量が増える
- リバウンドの可能性が下がる
- 愛犬のストレスケアに役立つ
まず、飼主さんが体力をつけることで、いつもの散歩のペースアップを図ることができ、愛犬の運動量が増えることにつながります。
他にも公園でフリスビーやボールを使って遊んであげだり、一緒に走り回ることも苦にならなくなるので、愛園との遊びの幅がぐっと広がりますから、愛犬のストレスケアにも役立ちます。
続いて、一緒にダイエットに取り組むことで飼主さんも「食べる」ということに対する執着が減り、食べないことが可哀そうなことだと思わないようになります。
こうした気持ちの変化によって「ダイエットが終わったら、たくさん食べさせてあげよう」という考えがなくなるので、リバウンドの可能性がぐっと低くなります。
飼主さんが一緒になってダイエットに取り組むことのメリットは、愛犬だけではなく飼主さんの健康維持にも役立ちます。
愛犬と共に健やかな暮らしを送るためにも、ぜひ一緒にトライしてみましょう。
ダイエットに成功したら
リバウンドに要注意!
目標の体重に到達したとしても、油断は禁物です。
なぜなら、ダイエットの最大の敵はリバウンドだからです。
リバウンドしないためには、食事と運動のバランスを一定に保つ必要がありますので、おやつやトリーツは過剰に与えないようにしましょう。
とくに肥満となった理由が「食事の能過ぎ」だった飼主さんは、食事量には十分に注意してください。
運動については、ダイエット中の時ほどの積極的に行う必要はありませんが、運動量を減らす場合は、その分だけ食事量を減らすようにしましょう。
気をつけるべきは食事に含まれるエネルギー(糖質・脂質)になりますので、不足しがちな栄養素はサプリメントから補うことも有用です。
当サイトでは犬用のサプリメントのご紹介をしていますので、ビタミン・ミネラル・アミノ酸などの一般的に知られる栄養成分から、乳酸菌・グルコサミン・アントシアニンなど、ドッグフードから摂取しにくい栄養成分を含むものまで、あらゆるサプリメントのご紹介をしていますので、愛犬の栄養管理のためにご活用いただけますと幸いです。
愛犬の変化に柔軟に対応すること
リバウンドに気を付けて生活していたとしても、年齢や体質の変化によって1日あたりに必要な食事は変化していきます。
それはリバウンドに関わるエネルギー(糖質・脂質)だけに言えることではなく、健康を維持するために必要な栄養素にも影響しますので、どんな食生活を送るべきなのかは獣医師に相談しながら考えていきましょう。
とくに問題がなければ、これまでと変わらない運動や食生活を送ることになるかと思いますが、リバウンドに過敏になりすぎると生活習慣を変えることに抵抗を感じるという方も少なくはありません。
病気や体質、年齢による変化によって、どうしても生活習慣を変えなければいけない場合には、愛犬の健康を維持するためにもリバウンドを恐れずに獣医師の指示に従いましょう。
まとめ
- 正しい知識を身に着けること
- 目標としてBCS3を目指すこと
- 計画は一定間隔で期日を設けること
- 写真付きの記録を残すこと
- 進行中はストレスサインを見逃さないこと
- リバウンドしない生活リズムを身に着けること
犬のダイエットを成功させるには、正しい知識を持って、試行錯誤を繰り返すほかありません。
ただ、愛犬と一緒に遊んだり、記録を取りながら進めていくダイエットは、犬にとっても飼主さんにとっても健全なダイエット方法といえると思います。
健康的な日々を送るためにも、楽しみながらダイエットを進めてみてください。