最終更新日:2019/09/30
アガリクスは犬に与えても大丈夫?気になる効果と副作用について調査

そもそもアガリクスって何?
健康食品の主成分として広く知られているアガリクスですが、実際はどんなものなのかというと、あまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
アガリクスとは、ハラタケ目ハラタケ属のキノコの総称です。
アガリクスというキノコの名称ように思われがちですが、その数は200種類以上にも及びます。日本で最も有名なのはヒメマツタケ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル)ですから、日本でアガリクスと呼ばれるものは、ヒメマツタケのことを指している場合が多いです。
アガリクスの産地
現在でこそ各国各地で栽培されているアガリクスですが、かつては栽培方法が確立されておらず、ブラジルに自生したものだけしか目にすることができませんでした。さらに、一度生えたところから再び育つケースも少ないので、手に入れるのも困難だったといわれています。
日本で人工栽培・量産技術が確立されたのは、1978年頃のことです。それから数十年の歳月をかけて技術が進歩し、現在ではアガリクス製品が手に入りやすくなったそうです。
しかし、日本で行われているハウス栽培で育ったアガリクスは、ブラジルの自然露地栽培されたものよりも栄養素が少ないといわれています。
栄養素(100g中) | 日本産 | ブラジル産 |
---|---|---|
β-グルカン | 8.2g | 12.4g |
カルシウム | 1.6mg | 42.5mg |
アミノ酸 | 25.04g | 26.11g |
セレン | 24μg | 51μg |
銅 | 1.65mg | 16.5mg |
ビタミンB1 | 0.52mg | 0.79mg |
ビタミンD | 0.9μg | 30.7μg |
葉酸 | 180μg | 210μg |
鉄 | 7.76mg | 11mg |
含有量の差にはバラつきがあるものの、最大で約34倍(ビタミンD)もの違いがあります。
アガリクスの効果
高い健康作用を持つアガリクスですが、アガリクスに健康作用があるといわれる理由には、様々な研究が行われてきた背景があります。
その研究の多くはマウスを用いたもので、犬を対象とした臨床試験などはまだ少ないのが現状ですが、どういった研究結果が報告されているのか、実際に見てみましょう。
抗がん効果
アガリクスの働きについて、もっとも広く知られているのは「抗がん効果」ではないでしょうか。
実際に行われた研究によると、がん細胞を移植したマウスに毎日アガリクスを投与したところ、そうでないグループに比べて腫瘍成長の抑制がみられたことが報告されています。
血圧降下作用
生のアガリクスには、血圧を効果させる働きがあるといわれています。
実際に行われた研究によると、高血圧を自然発症したラットの飼料に、γ-アミノ酪酸(GABA)を蓄積したアガリクスと、そうでないアガリクスを添加したところ、いずれも有意な降圧作用が見られたことが報告されています。
とくにGABAを蓄積したアガリクスに関しては、GABAをほとんど含まないアガリクスよりも有意な降圧作用が見られたそうです。
アガリクスの副作用
数々の健康作用が報告されているアガリクスですが、副作用に関する報告が1点あります。
発がんプロモーション作用
アガリクスによる副作用の疑いを明確にすべく、厚生労働省が国立医薬品食品衛生研究所でアガリクスを含む市販の製品について毒性試験を実施しています。
その結果、製品の1つに発がんプロモーター(※1)があることが報告されました。これによって直ちにガンが引き起こされるようなことはありませんが、健康被害を早めに防ぐために、厚生労働省はその製品の販売停止と回収を要請しました。
この製品に使用されていたアガリクスは、中国産のアガリクスです。
中国産アガリクスは、土壌の重金属や有害物質、農薬や化学肥料などの影響を受けたものが多く、栽培・製造(乾燥・保管・品質保持)・流通の過程でカビが発生するなどの危険性を孕んでいることから問題視されていました。
しかし、当時は中国産の原料に対する警戒心が薄かったために、コストダウンを目的に使用されていたそうです。
※1:発がんプロモーターとは、発がん過程の中の1つを引き起こすものの名称です。例えば、私たちが普段口にしている食塩は健康を大きく損なうものではありませんが、胃がんの発生過程を助長するものだといわれていますので、これもプロモーターにあたります。
まとめ
様々な健康作用が報告されているアガリクスですが、それが犬に対してどう働くのか、明確な答えはまだ出ていないというのが現状です。
アガリクスというのは分類名であり、原材料に呼称が載っていないという点も気になりますね。例えば、スーパーで目にすることの多い「マッシュルーム」もアガリクスの一種で、アガリクス・ビスポラスと呼ばれるものです。つまり、下手をするとマッシュルームを配合したサプリメントも「アガリクス」と言えてしまうわけですから、「アガリクス・ブラゼイ・ムリル」「カワリハラタケ」「ヒメマツタケ」など正確な名称で表示して欲しいところです。
また、アガリクスの産地にも注意が必要です。中国以外で生産されているものも多いですが、安全性・栄養価のことを考えると「ブラジル産」のアガリクスを選びたいですね。